『Next5G 事業共創マッチングフォーラム』レポート
3月3日(火)、事業会社・スタートアップ・支援機関等の新たな連携創出につながる機会を目的としたオープンイベント「Next5G 事業共創マッチングフォーラム ー次世代通信を活用したスタートアップとの共創による事業創出に向けてー」が開催されました。 本フォーラムでは、東京都が実施する次世代通信技術活用型のスタートアップ支援事業において、実際にプロジェクトを牽引してきた「開発プロモーター」とスタートアップによるトークセッションやネットワーキングを通じて、事業会社や支援機関が交わる「繋がりを創出する場」となりました。

主催者「株式会社eiicon」
本フォーラムの主催であり、司会進行やモデレーターを務めた株式会社eiicon。
同社はインフォシティグループと同様に、東京都が実施する「次世代通信技術活用型スタートアップ支援事業(Tokyo NEXT 5G Boosters Project)」において「開発プロモーター」として令和7年度採択されています。
累計35,000社以上が登録する日本最大級のオープンイノベーションプラットフォーム「AUBA」を運営しており、その強大なネットワークと、1,700件以上のサクセスケースを生み出してきた伴走支援のノウハウが、Tokyo NEXT 5G Boosters Projectでもいかんなく発揮されています。
そしてTokyo NEXT 5G Boosters Projectのもと、スタートアップ共創プログラム「Next 5G Social Innovation Program」を始動。5GやBeyond 5Gといった次世代通信技術を活用し、都民のQOL(生活の質)向上に寄与するスタートアップを3カ年にわたり伴走支援しています。

高野雅晴氏×平野友康氏 トークセッション
本フォーラム最大の目玉となったのが、前身事業の「5G技術活用型開発等促進事業(Tokyo 5G Boosteres Project)」においても開発プロモーターとして活躍したインフォシティグループ 高野 雅晴と、その支援先スタートアップであるテレポート株式会社 代表の平野 友康氏によるトークセッションです。

自由で柔軟なカルチャーを持つインフォシティ
高野氏はまず、自身が所属するインフォシティグループ(インフォシティ、ビットメディア、テクノネットの3社)の成り立ちを紹介しました。早稲田大学でコンピューター研究会を設立すると、そのままインフォシティが創業され、事業内容を限定しない、常に最新のテクノロジーを追いかけていく社風で成長してきました。その自由で柔軟なカルチャーこそが、オープンイノベーションを推進するプロモーターとしての土壌になっています。
「ベター」な雑談から広がった5G実証実験
平野氏率いるテレポート社は、コロナ禍の2021年に立ち上がったスタートアップです。
当時、複数名で毎週土曜日にオンライン上で集まっていた「ただ話すだけの場」を「ベター」と名付け、定期的に交流していた二人。その中で高野氏が「東京都の5G事業があるから一緒にやってみないか」と平野氏に声をかけたことが、現在の強力なタッグの始まりでした。 高野氏は、「制度という補助線が引かれると、言語化されていなかったものが枠にはまり、新たな提案として形になる」と語ります。そうして、目的を持たないコミュニティの場が、5Gという次世代インフラの実証フィールドへと一気に昇華しました。
「文化祭のノリ」で壁を越える
高野氏のプロモーターとしての支援スタイルは非常にユニークで、「みんなで一緒にお祭りのようにやってしまう」というものです。事実、当時 支援していたスタートアップ企業達を集結させ、KDDIや東急グループといった大手企業を巻き込みながら、二子玉川エリアで「au XR Door」やIoTセンサーなどを統合した大規模なコミュニティ実証実験(DX Yourself)を成功させました。 ガチガチのKPIで縛るのではなく、余白を残して楽しみながら共創を進めることが功を奏したと二人は話します。
他の開発プロモーターにおいては、個々のスタートアップ企業を個別に支援する形がほとんどだったことからも、高野氏がスタートアップ企業を連携させたこの実証実験は独特であったことが伺えます。
ビヨンドブロックチェーン株式会社の登壇
その後ステージでは、ビヨンドブロックチェーン株式会社のCEO、鳥澤 周作 氏が登壇しました。 同社もまた、5G技術活用型開発等促進事業において、開発プロモーターであるインフォシティグループが支援した重要なスタートアップの1社です。

同社は、CTOが早稲田大学大学院の教授を務める生粋のディープテック企業です。
鳥澤氏が力強く語ったのは、AI・IoT時代における「データへの信頼(トラスト)」の重要性とフェイクデータ対策です。
近年、端末側で高度な処理を行う「エッジAI(専用のAIチップ)」が普及しています。例えばロボットが人間の聞こえない通信で指示を出し合う世界において、「何がセンサーからのオリジナルデータ(オーセンティシティ)で、何がAIによって導き出されたデータなのか」の区別がついていないことが、現在のフェイクデータ問題に直結していると鳥澤氏は警鐘を鳴らしました。

そこで同社は、デバイスに「セキュアノード(ファームウェア)」を組み込み、エッジAIのデータとオリジナルデータを明確に区別する技術を提供しています。
この技術は、ヨーロッパで盛んに謳われている「ベリファイアブル・クレデンシャル(検証可能な自己主権型データ)」の概念に通じています。来年からEUで導入されるバッテリー等の「デジタルプロダクトパスポート(製品のライフサイクル追跡)」や、ERPシステム(社内基盤)のデータ構造の信頼性担保など、サプライチェーン管理において極めて重要な役割を担います。
開発プロモーターの支援を受け、自社の高度なブロックチェーン技術を「IoT・AIデータ社会のレジリエンス(回復力・強靭性)を保つ基盤」へとより成長させる同社の取り組みは、これから連携に挑む参加者たちに強いインスピレーションを与えました。